資本市場の健全な発展に寄与することを目指し、2009年度から開始した「プロネクサス懸賞論文」を本年においても引き続き実施いたしました。このたび、受賞作品が決定いたしましたので、お知らせいたします。
「上場会社のディスクロージャー・IRをより効果的、効率的なものにするための研究および提案」というテーマに対して、部門T(個人または2名)に8本、部門U(大学生グループ)に5本、計13本の論文の応募があり、審査委員会にて厳正かつ多面的に検討を行い、部門Tで優秀賞1本・佳作1本、部門Uで佳作2本の論文を選定いたしました。
審査結果
部門T (個人 または2名) |
優秀賞 | 天野 良明(京都大学大学院 経済学研究科博士後期課程2年) 「負ののれんの会計処理に関する提言−負の超過収益力との関連性の観点から−」 |
佳 作 |
今井 昭仁(神戸大学大学院 人間発達環境学研究科博士後期3年) 「報酬比率の開示の効果的な利用」 | |
部門U (大学生 グループ) |
佳 作 | 末吉 姫子・立山 利佳・松田 詩織・小西 瑞季・江浦 大地 (北九州市立大学 経済学部3年) 「株主優待廃止とお土産廃止のアナウンスメント時におけるネガティブな情報効果を和らげる効果的なディスクロージャーに関する研究」 |
佳 作 |
畑 智泰・柄澤 菜月・中村 奈生・森島 和奏・森田 ひなの (日本大学 商学部4年) 「決算早期化−決算早期化の有用性と実現に向けた新モデルの提案−」 |
受賞論文の概要
①部門T優秀賞である天野 良明氏の「負ののれんの会計処理に関する提言−負の超過収益力との関連性の観点から−」は、国際会計基準(IFRS)及び日本基準では、企業結合時に生じる「負ののれん」を発生期の利益に計上するが、日本の上場企業による負ののれんが発生した企業結合97サンプルを用いて分析し、負ののれんと負の超過収益力との関連性、取得企業の業績への影響について検証している。
また、佳作 今井 昭仁氏の「報酬比率の開示の効果的な利用」では、役員報酬と従業員報酬の比率開示、いわゆる報酬比率の開示(pay ratio disclosure)が「誰に」「どのような」メッセージを送ることができるかを検討し、日本企業の開示実務の一例として提言している。
第1の佳作 末吉 姫子氏、立山 利佳氏、松田 詩織氏、小西 瑞季氏及び江浦 大地氏の「株主優待廃止とお土産廃止のアナウンスメント時におけるネガティブな情報効果を和らげる効果的なディスクロージャーに関する研究」は、株主優待制度の廃止と株主総会のお土産廃止にあたって、株式市場の評価、廃止時の情報開示について明らかにし、株主優待廃止とお土産廃止のネガティブなアナウンスメント効果を和らげる効果的なディスクロージャーのあり方に言及している。
また、第2の佳作 畑 智泰氏、柄澤 菜月氏、中村 奈生氏、森島 和奏氏及び森田 ひなの氏の「決算早期化−決算早期化の有用性と実現に向けた新モデルの提案−」では、「決算早期化が企業の業績の向上に結び付く」との仮説を立て、直近3月期決算約2,000社の通期決算短信のデータを集計し、30日以内と30日を超えて開示している企業を比較分析した上で、決算早期化の阻害要因を特定化するとともに実現に向けた新モデルを提案している。
授賞式の開催模様
2019年12月23日午前10時00分より、弊社において授賞式を開催し、部門T・優秀賞の天野 良明氏及び佳作の今井 昭仁氏、部門U・佳作の末吉 姫子氏及び柄澤 菜月氏に、表彰状の授与などが行われました。
はじめに、弊社取締役会長 上野守生より挨拶があり、受賞者の方々に表彰状と懸賞金の目録がそれぞれ贈呈されました。
次いで、黒川行治審査委員長(千葉商科大学会計大学院教授、慶應義塾大学名誉教授)から、受賞論文に関する講評がありました。
左から、弊社常務執行役員 水沼 久雄、弊社会長 上野 守生、【受賞者】天野 良明氏、審査委員長 黒川 行治氏、弊社社長 上野剛史、弊社プロネクサス総合研究所副理事長 高橋 義明(受賞者以外の並びは以下同様)
左から3番目【受賞者】今井 昭仁氏
左から3番目【受賞者】末吉 姫子氏
左から3番目【受賞者】柄澤 菜月氏
審査委員委員長 | 千葉商科大学会計大学院 教授 慶應義塾大学 名誉教授 |
黒川 行治 |
委 員 | 会計教育研修機構 代表理事専務・事務局長 | 新井 武広 |
委 員 | 早稲田大学商学学術院 教授 | 川村 義則 |
委 員 | 早稲田大学大学院経営管理研究科 教授 | 小宮山 賢 |
委 員 | 株式会社バリュークリエイト パートナー | 佐藤 明 |
委 員 | 青山学院大学大学院 教授 | 多賀谷 充 |
委 員 | 株式会社プロネクサス 取締役会長 | 上野 守生 |
(敬称略) |