ディスクロージャーの専門用語集

ディスクロージャーの専門用語を解説します。

株式公開のことであり、未上場会社の株式を証券市場(株式市場)に上場することをいいます。通常、上場時においては、新株を発行して資本市場から資金を調達する「公募増資」や、オーナー等の既存の株主が保有している株式を不特定多数の投資家に売却する「売出し」を伴うことからIPO(Initial Public Offering)とも呼ばれます。

会社法とは、会社の様々な利害関係を調整し、法律関係を円滑に処理することを目的として制定された法律です。会社の設立・機関・計算等・資金調達・企業再編といった会社の構造・組織及び運営等について規定されています。

株式会社の株主としての地位を構成する細分化された割合的単位を株式といいます。
株式は均一的に細分化されていることから、株式を有償で発行することにより、出資者は小額の資金で株式を取得し株主となることができ、株式会社は多数の出資者(株式の購入者)を募ることで、多額の安定した資金を調達することができるという利点があります。
この株式を表章した有価証券を株券といいますが、平成21年1月5日に、上場会社の株式は、株式等振替制度(株券の電子化)に移行したことにより、株券は廃止されています。

株式の所有者たる株主によって構成される株式会社の意思決定機関です。
株式会社の基本的事項について意思決定する必要的機関ですが、常設の機関ではなく、事業年度ごとに招集される定時株主総会と、開催の必要があるときに招集される臨時株主総会があります。
株主総会は、会社法で規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他会社に関する一切の事項について決議できますが、取締役会設置会社においては、会社法で規定する事項及び定款で定めた事項に限り株主総会で決議できることとされています。

株式会社の取締役は、毎事業年度中に少なくとも1度、事業年度の終了後一定の時期に株主総会(定時株主総会)を開催することが義務付けられています。
株主総会招集通知とは、株式会社の株主に対して、株主総会を開催する旨などの内容を記載した文書のことをいい、その記載事項については会社法で詳細に規定されています。
なお、この招集通知は、原則として株主総会開催日の2週間前までに、株主に対して送付する必要があります。

  • すべての株主に対して送付されるわけではなく、株主総会において議決権を行使することができる株主に限られています。

株主通信とは、ある一定期間の会社の事業状況等(事業活動の状況、会社の現況、財務及び業績状況等)を記載した報告書です。法律や規律で義務付けられた法定書類ではありませんが、IR活動の一環として定期的に会社の状況を株主に説明するために送付されています。
一般的には、事業年度末や第2四半期末、あるいは四半期ごとに作成され、「事業報告書」「中間事業報告書」「IR通信」といった標題が付されています。

株式会社に代わって株主名簿の作成及び備え置きその他の株主名簿に関する事務を行う者をいいます。実際にはその他の株式事務も代行しており、信託銀行及び証券代行会社がこれにあたっています。株主名簿管理人に事務を委託するためには、定款に株主名簿管理人を置く旨を規定する必要があります。
なお、上場会社においては、各証券取引所の上場審査基準によって、株主名簿管理人の設置が求められています。

他人の求めに応じて報酬を得て財務書類の監査または証明をすることを業とするために、5人以上の公認会計士が共同して設立した法人のことです。

資本市場の機能が十全に発揮され、金融商品等の公正な価格形成を図ることにより「国民経済の健全な発展」「投資者保護」を目的とした法律です。以前は証券取引法と呼ばれていましたが、平成18年に金融商品取引法と名称が変更されました。
有価証券報告書の提出などの開示の原則、金融商品取引業者や金融商品取引所等の業務、有価証券の取引等の規制などを定めた法律です。

一定期間の収入・支出を計算し、利益又は損失(損益)を算出することをいいます。企業だけでなく国・地方公共団体においても決算を行うことが、法律で定められています。

株式を上場している企業が決算発表を行う際に作成するものです。東京証券取引所の適時開示システムTDnetへの掲載や、マスメディアへの資料投函を通じて発表します。

財務局は、財務省の出先機関として地方において業務を行っています。
また、金融庁から委託を受けて、企業の財務内容などが記載された有価証券報告書等を受理・審査する業務、インサイダー取引等に対する課徴金調査なども行っています。

一般的には決算書といわれることが多く、財務諸表の中の貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書を合わせて「財務三表」と呼ぶこともあります。貸借対照表は、事業年度の終わりにおいて、会社がどれだけの資産、負債等を持っているかを示し、損益計算書は、事業年度でどれだけの利益を獲得できたかを示し、キャッシュ・フロー計算書は、事業年度でどれだけ現金を獲得できたかを示しています。

事業報告は、各事業年度の株式会社の状況に関する重要な事項をその内容とする書類であり、すべての株式会社に作成が義務付けられています。
記載事項については法定されており、たとえば、「当事業年度の事業活動の結果」、「事業内容」、「事業所」、「従業員」、「株式の状況」や「会社役員の状況」などの記載が求められています。そのため、株式会社は、これらの事項を記載した事業報告を事業年度毎に作成することになります。
なお、事業報告は株主に対して提供が求められていますが、一般的には株主総会招集通知の添付書類として送付されます。
また、事業報告の内容は、定時株主総会での報告事項とされています。

金融商品取引法で規定されている四半期(3ヶ月)毎の開示資料になります。
以前は半期報告書、有価証券報告書と年2回の開示でしたが、上場会社においては、3ヶ月毎の四半期決算日から45日以内に提出が必要となりました。これは、経営環境の変化のスピードがはやまっていることから、投資家に適時に情報を届けることを目的としています。提出を早くする代わりに、開示される情報はある程度簡略化されています。

有価証券の売買や売買の仲介などを行う会社。金融商品取引法により、法律上は「金融商品取引業者」に分類されます。現在、証券会社との商号を用いている会社については、継続的に使用することができるとの経過措置がとられています。

株式を証券取引所に新規上場させるには、その株式の発行会社が証券取引所に上場申請を行います。証券取引所では、投資家保護の観点から、当該発行会社が、上場会社としての適格性を有しているかどうかについて、新規上場に関する諸規則に基づき審査を行います。
審査の結果、当該発行会社の上場適格性が確認されると上場が承認されます。上場申請時には、有価証券上場申請書のほか、新規上場申請のための有価証券報告書(Iの部)・(IIの部)、新規上場申請取締役会議事録、登記事項証明書、定款、監査概要書等の多くの書類の提出が求められています。

金融商品取引法で規定されている、事業年度開始から6ヶ月間の状況を報告する開示資料です。流動性が乏しい非上場会社については、規制を画一的に行うことが適当ではないため、四半期報告書の提出義務がない会社については、半期報告書を提出すればよいことになっています。提出のタイミングは事業年度終了から3ヶ月以内と、四半期より遅くなっています。

東京証券取引所市場第一部に上場している全銘柄(日本企業の普通株式)の時価総額の増減をもって、株式市場の動向を表す株価指数です。算出方法は、基準時を1968年1月4日とし、その日の時価総額を100として、その後の時価総額を指数化しています。「日経平均株価」とともに、日本の株式市場の動向を示す代表的な株価指数です。
一般に、TOPIX(Tokyo Stock Price Indexの略)ともいいます。

日経平均株価(にっけいへいきんかぶか、The Nikkei,Nikkei 225)とは、株価水準を表す指標の一つで、東京証券取引所市場第一部上場の代表的な225銘柄を対象とした平均株価ですが、ダウ・ジョーンズ社が開発した修正方法を用いて算出されています。またの名を日経225とも呼ばれています。

株式会社が、事業活動を行うことによって得られた利益の一部を株主に対して、金銭によって分配されるものを配当金といいます。
分配の方法は金銭に限られておらず、現物によるものでも可能ですが、実際には金銭で行う場合が圧倒的です。
会社法においては、配当の時期について規定はなく、株式会社は事業年度中いつでも配当を行うことが可能となっていますが、一般的には、事業年度末日後に行う「期末配当」と、事業年度の途中に行う「中間配当」の年2回の配当を行っている会社が多い状況です。
その他に四半期毎に配当を行っている会社も見受けられます。
なお、配当については、株主平等の原則に従って、株主が所有する株式数に応じて行われます。
また、会社法では、配当を行う際の財源規制を設けており(分配可能額)、株式会社は、この分配可能額の枠を超えて配当を行うことができません。

金融商品取引法では、企業内容等に関する開示として、有価証券報告書、確認書、内部統制報告書、四半期報告書、半期報告書、臨時報告書などを継続して開示することが定められています。法定開示には、このような流通市場における開示だけではなく、有価証券を発行するときなどに行う発行市場における開示、公開買付けに関する開示なども含まれます。

株式等有価証券の募集、売り出しの際に投資家に提供するもので、その有価証券の内容や発行会社の事業内容等投資判断の素になる情報を記載した文書のことです。

広くは、財産に関する権利や義務を表す紙片のことを証券といいます。金融商品取引法上の有価証券は、金融商品取引法2条1項において有価証券に当たる「証券又は証書」が、同条2項において有価証券に当たる「権利」とは何かが具体的に定められています。具体的には、株券や国債・社債が代表的なものです。

有価証券の募集又は売出しにかかる届出のために内閣総理大臣に提出する書類です。原則として、(1)その募集又は売出しに関する事項、(2)その会社の商号、(3)その他公益又は投資者保護のために必要かつ適当な事項が記載されます。募集又は売出しに関する事項以外は、有価証券報告書と類似の記載事項が様式で定められています。

上場有価証券、上場有価証券に準ずる有価証券、開示が行われている有価証券の募集又は売出しなど、一定条件の有価証券の発行会社は、事業年度経過後3ヶ月以内に有価証券報告書を提出しなければならないとされています。内容は、決算数値を直接開示する財務情報のほか、事業の内容、役員の状況など多岐にわたります。